シミの対策
フラルグループ理事長
皮膚科専門医 髙田美子が
監修しています
目次
Toggle基本的なシミの対策 今すぐやめたい!日常生活でやりがちなシミを悪化させる10の行動
①とにかく汚れを落とすのが命!クレンジングを念入りにやっている
洗顔時は、日常生活の中で顔をこすりやすい場面の一つです。この「こする」ということが、炎症を起こして、シミを濃くする大きな原因になっています。
シミ対策には、とにかく刺激を避けて洗うことが重要です。
シミやくすみ、色ムラなどのメラニン要因の肌トラブルすべての予防策において、「こすらない」ことは大前提です。
泡立つタイプの洗顔料をお使いなら、きちんと泡立てて洗顔料がクッションになるように使うことも大切です。
体のシミも同様です。膝下の色素沈着や体のシミは、こすれば取れそうに感じるかもしれませんが、…顔のシミと同様、こすったからシミが取れるわけではありません。
むしろ、ナイロンタオルでこすればこするほど、シミは悪化します。
こうすれば大丈夫!
洗顔の時は、顔の皮膚が動かないように心がけてください。
顔の皮膚が上下に動いているならば、それはこすっているのと同じこと。
それだけでなく、真皮や皮下組織など肌の深い部分も無理に動かすことになり、肌のハリを保つコラーゲンを壊してしまい、たるみを引き起こす可能性もあります。
肌が動かない程度の圧力で優しく洗ってください。
体を洗うときは、ゴシゴシしないようにタオルを使うことをやめて、手に石鹸の泡をつけてなでるように洗ってください。
②顔に残る水分は大敵!タオルでしっかり顔をふいている
そして、洗顔後のタオルの使い方も見落としがちな悪化行動です。
思わず、タオルを下から上へと動かしながら、顔を拭いていませんか?小さめのタオルを片手に持って、体をゴシゴシと拭いていませんか?
これも、こすれを起こしている行動、シミを悪化させてしまうタオルの使い方なので、今すぐやめてください。
こうすれば大丈夫!
おすすめのタオルの使い方は、顔の場合は、肌の上でタオルを動かさず、そっと押さえて水分を吸わせるようにする方法です。
この場合タオルはふんわりとした生地や、水分を素早く吸収する性質のあるリネンなど、肌に刺激を極力与えないものを選ぶと良いでしょう。
体は、大きいタオルをバサッと体にまとわせて、顔と同様に水分をタオルに吸収させながら体の水分をふき取りましょう。
左腕にタオルを置き、右手でその上からポンポンと押さえる、そんなイメージの拭き方です。
③スタイル良く見える補正下着こそがシミの原因
脇の下、腰回り、足の付け根、ほかにもふくらはぎの外側など…これらは体と服がこすれて色素沈着ができやすい場所です。
タイトな洋服や、補正下着などで知らず知らずのうちにこすれて色素沈着、シミが広がり、濃くなります。
こうすれば大丈夫!
体重が3㎏以上増えたのであれば、今まで使用していた洋服や下着がきつくなっています。
サイズをUPすれば、補正下着なども使用可能ですので、体の変化に合わせて服や下着もサイズ変更しましょう。
あるいは…増えてしまった3㎏を元に戻せば、大丈夫です。
④美白化粧品は良くしみこむように塗りこむ
湿疹に薬を塗るときなどもそうですが「薬が良く効くように」と、強めに薬を塗りこむ方がいらっしゃいます。
同様に、美白剤も塗りこんだほうが効果が高い…と思って、美白剤をシミの部分に指で押し込もうとする方、コットンなどでパッティングする方などもいらっしゃいますが、これらの行為は美白剤が浸透することに全く効果がありません。
それどころか、美白剤をすりこむことで、逆に炎症を引き起こしシミが濃くなります。
こうすれば大丈夫!
ただ塗るだけで浸透しやすい美白剤を選べば、さっと塗るだけで効果を発揮します。 選び方のポイントは、美白成分が何に溶けるのかを知ることです。
美白成分が肌へ浸透しやすいかどうかは、その成分が水に溶ける性質(水溶性)なのか、油に溶ける性質(油溶性)であるかにかかってきます。
まず、肌の表面にある「角質」という層は油溶性のものが良く通ります。 角質を通り抜けた次は下の「表皮」部分に浸透していきますが、こちらは水溶性のほうがよく通ります。
そのため、肌の深いところまで美白成分を届けたければ 油にも水にも溶ける「両親媒性」を選ぶことをおすすめします。
⑤強力な日焼け止めを塗ったから大丈夫と過信している
黒色メラニンが生成される一番の原因は「紫外線」です。
紫外線をなるべく浴びないようにすることが、対策としては一番大事ですが、まったく日中に外出しないわけにはいきません。
そこで、みなさまお使いのアイテムが日焼け止め。 SPF値が高い、強力な日焼け止めを塗ったから大丈夫…と過信してはいけません。
実は日焼け止め、こすってしまえば簡単に取れます。 汗をぬぐったり、鼻をティッシュでかんだりすれば、その部分の日焼け止めは取れてしまうのです。
どんなに強力な日焼け止めでも、うす~く塗ったのでは、表示通りの効果が出ません。しっかり厚く塗る必要があります。
こうすれば大丈夫!
紫外線対策は、1つだけのアイテムではなく2重、3重に対策を重ねることが最適です。
お顔の場合は
1.日焼け止め
2.紫外線防御力のあるファンデーションを重ねて、肌の上でも2層の膜を作り
3.つばの広い帽子をかぶって顔に日陰を作る
この3重の対策を取ることで、効果的に紫外線を防ぐことができます。
体の場合も、「日焼け止めを塗る+長袖の服やUVカットパーカーを着る+日傘を使う」の3重対策。
素材や色による紫外線防御力の違いまでこだわる必要はありませんので、気軽に試してみてください。
⑥洗顔せず寝るのはダメだから…とふき取り洗顔している
汗や汚れ・皮脂を肌に残しておくと、確かに肌の刺激になりシミが悪化することがあります。
しかし、どうしても洗顔する時間が取れないから…とベッドの上でふき取りメイク落としを使ってそのまま寝てしまうのは、よりシミを悪化させる原因になるので、やめましょう。
シミを悪化させる理由は2つ
1.ふき取りシートでこすってしまう
2.洗浄成分が肌に残ってしまい、寝ている間中肌へ刺激が加わる
ということになります。
こうすれば大丈夫!
当然、肌に一番良いことは、きちんとクレンジングと洗顔を行うこと。 でも、時間がない、疲れている…どうしてもむずかしいときは、ぬるま湯で顔を洗うだけでも行ってください。
汗とほこり、そして皮脂の合わさった肌に刺激になるような汚れは、ぬるま湯で洗うだけでも落ちます。
また、ぬるま湯で洗っただけであれば、肌の油分が適度に残るため、洗顔後のスキンケアをする間もなく寝てしまっても、大きなトラブルにはなりません。
ただし、落ちにくいメイクや、毛穴に詰まった汚れなどはぬるま湯だけでは十分に取れないので、ご注意ください。
⑦日々のケアこそ大事、寝る前2時間はホームエステしている
スキンケアは大切だから・・と寝る間を惜しんでスキンケアを行っている方がいますが、実はこれもNG行動です。
なぜなら、肌は塗ったものをほとんど吸収しません。 肌をきれいにするためには、肌に塗るよりも体の内側から栄養を取り入れ、細胞の再生を促進するほうが何倍も効果があります。
そして、その細胞の再生のために必要なことは、睡眠!
ですから、睡眠時間を削ってまでスキンケアをすることは、何も良いことがありません。
こうすれば大丈夫!
肌のためには、7〜8時間の睡眠が良いといわれています。
実際に、十分な睡眠をとれている人と、5時間未満の睡眠不足の人とを比較した論文でも、十分な睡眠をとっている人の肌のほうが質や色が良いことが報告されています。
まずは7時間ほどの睡眠を最優先にスケジュールを組み、余裕のある時間帯でホームエステを心がけてください。
繰り返しますが、良質な睡眠のほうが、スキンケアをあれこれ行うよりも美肌に効果があります。 優先順位をお間違え無く!
⑧最新の美容成分こそが効果抜群!新しいものにどんどん変えていく
確かに、最新の新しい成分は、これまでの美白成分より効果が高いものもあります。
しかし、どんどん新しい成分を試してくのは、シミ対策としておすすめとは言えません。
なぜなら、一つの成分を使い始めて3~6ヶか月ほどたたないと、その効果が目に見えてわからないからです。
もし効果が出始めたところで別の成分に切り替えると、それまでの反応が無駄になってしまうこともあります。
また、新しい美容成分は長期間の使用により予想外の刺激や炎症を引き起こすことがあります。
こうすれば大丈夫!
1つの美白成分をまずは6ヶか月ほど使ってみて、効果が満足でなければ別のものを使うようにしましょう。
また、新しい化粧品を使用して、ピリッとしたりかゆいと感じた場合は肌に合っていない可能性が高いため、その場合はすぐに使用を中止するようにしてください。
そしてもう一つ注意点があります。 封を開けて3か月以上たっている化粧品は、たくさん残っていても処分して、必要時は新しいものを使ってください。
しばらく使用していない化粧品は、空気や光で化粧品成分が変化して、次に使うときにかぶれの原因になることがあるからです。
⑨部分使用の美白剤、顔全体に塗ってもいいでしょ…と自己解釈
美白化粧品は、「シミの部分にだけ塗ってくださいって書いてあるけれど…顔全体に塗ったら全体の美白になるのでは?」と思いますよね。実はこれもシミを悪化させる原因になっています。
一部の美白化粧品では、有効成分の濃度を高めるために、溶けにくいものを溶かす成分を配合していることがあります。
この溶かす成分は「多価アルコール」と呼ばれるもので、溶かす効果が高いほど、肌への刺激が強くなります。
そのため、超高濃度の美容液はシミの部分だけに使用することを前提に作られています。
刺激の強い美白化粧品を顔全体に使うと、美白効果が期待できるどころか、逆に顔全体に色素沈着を引き起こす可能性もあるので注意が必要です。
こうすれば大丈夫!
顔全体に使用する美白剤と部分使用の美白剤に分けてください。
また、プチプラコスメで美白成分の濃度が高いものは避けましょう。
⑩○○はやめられない…でもシミも嫌だから美白剤だけで対応したい
シミの直接的な原因がある場合、その原因となっているものをやめないと、シミは完全には治りません。
例えば、正座を毎日する人のひざ下の黒ずみ、ニキビをいじる癖がある場合のシミなどです。
シミができる原因が分かっているのに、それを止めずに美白剤や美容医療のレーザーでシミを取ろうとしても、効果はなかなか現れません。
ほかにも間接的なシミの原因の場合は、その原因となっているものをやめないとシミが取れにくかったり、取れるまでに時間がかかったり、シミが取れてもすぐに再発してしまったりします。
代表的な間接的原因は、タバコです。なかなかやめることが難しいものですが、美肌のためにも健康のためにも、少しずつ減らしていくことが大切です。
こうすれば大丈夫!
部分的なシミ、例えば膝の下の黒ずみやくるぶしの黒ずみなどは、必ずシミの原因があります。
自分で気づかない場合は、身近な人に聞いてみると「まさかこれで?」意外な原因が判明することもありますので、根気よく探してみてください。
しかし、対策を頑張ってもなかなか良くならないシミや、どんどん黒く広がるシミがある場合は、早めに皮膚科に相談することが一番良いシミ対策といえます。