シミの予防
フラルグループ理事長
皮膚科専門医 髙田美子が
監修しています
目次
Toggle日々のシミ予防
シミ治療は、美肌のためには欠かせない方法ですが、 ご自身でおこなう、シミの予防はなによりも効果的です。
このページでは日常生活に取り入れやすい、シミ予防をご紹介していきます。
すべての予防を一気に行わなければいけない…というわけではなく、できるところから始めて、少しずつ予防方法を増やしていっても効果が得られます。ぜひ、手軽に始められるものから取り組んでみてください。
紫外線対策
シミの予防と言えば、最初に思い浮かぶのが紫外線対策ではないでしょうか?
そして、紫外線対策として、まず日焼け止めを塗るという方も多いかと思います。 これは、とても良い習慣です……が、その手に取っている日焼け止め、どんな基準で選んでいますか?
せっかくシミ予防に関する良い習慣があるので、ここでは効果的な日焼け止めの使い方をご紹介します。
日焼け止めの選び方
日焼け止めは、SPF・PAという数値の組み合わせで、紫外線防御力を示しています。
SPF…UVBから肌を防御する時間の長さの指標。数値が大きいほど長時間UVBをブロックすることができる
PA…UVAから肌を防御する効果の高さの指標。プラスの数が多いほどUVAから肌を守る効果が高い
日常生活であれば、直接シミの原因になるUVBを、防ぐためにSPF20〜30程度で十分です。
屋外に一日中いる場合は日中の塗りなおしなども難しい場合が多いのでSPFの数値の高いものを選ぶほうが良いと言えます。
最近では、低刺激の製品が増えましたが、それでもSPFが高いほど、ウォータープルーフ加工など取れにくい加工がしてあるものほど、肌への刺激が強くなりがちです。
肌への刺激や炎症もシミの原因になってしまうので、数値は参考にしながら肌に合う日焼け止めを選んでください。
日焼け止めの落とし穴
①塗っている量が少なすぎる
計算上1回の使用量は0.74gです。SPFやPAの数値通りの効果を出そうとすると、
塗る量はよく言われるパール大1個分では足りず、2~3個分を顔全体に広げる必要があります。
これは、白浮きしちゃうくらいの量です。
お使いのものが、たとえば30g入っている日焼け止めだとすると、1回ごとの適量をしっかり使えば40回使用(朝、日中塗塗りなおすとしたら20日)で1本なくなるほどの量です。
②こすればとれてしまう
日焼け止めは、汗をぬぐったり、鼻をかんだりすると簡単に取れてしまいます。
どんなにしっかり塗っても取れてしまったら効果は激減…なので、日焼け止めを塗ったら顔に触らないように、できれば、日中に塗りなおしをすることが重要です。
スキンケアはシンプルに
シミの予防として大切なのは、炎症を起こさないということです。
日常生活で、炎症を起こすものは何か…というと、よく見られるケースは、合わない化粧品を使ってのかぶれです。
スキンケアアイテム、メイクアイテムをあれこれ多数使用すればするほど、かぶれの原因になります。
なので、使用するアイテムは厳選したもの数個にとどめて、シンプルなスキンケアを心がけることがおすすめです。
顔を触らない
顔を触ると、ついニキビをいじったり、肌を引っかいたりしてしまいがちです。
こするとその部分は炎症を起こしやすくなり、シミの原因にもなります。 ですので、顔を必要以上に触らない。頬杖をつくこともやめたほうが良いでしょう。
こすれるものを除く
こすれる部分は、炎症が起こりやすくなります。
代表的なシミは、メガネの鼻あて部分にできる色素沈着です。
このような色素沈着は、原因物質を取り除かない限りシミが濃くなり続けるので、 早めに対処をしてください。
原因として代表的なものは、メガネ、マスク、帽子、そして、正座をよくする方にできるひざ下の黒ずみ、タイトデニムを愛用しているとできるふくらはぎ外側の黒ずみ、肘、洋服でこすれるフェイスラインなどがあります。
十分な睡眠をとる
質の良い十分な時間の睡眠は、シミ予防には絶対必要です。
なんとなく経験的に、睡眠不足だと肌がくすんで見える…と感じている方も多いと思いますが、事実、アジア人女性を対象にした最新の研究で、顔の黄色みが大幅に増加・肌がくすんで見えるようになることが証明されました。
睡眠不足による肌への影響
・肌色の悪化(黄色っぽくくすむ)
・肌のハリの低下
・肌の水分量の大幅低下
・目の下のクマの悪化
・シワ、小じわの増加
良質な睡眠の肌への効果
・肌の水分量改善
・紫外線に当たった後の赤みが改善される
・肌のハリ改善
睡眠時間の目安
肌に良質な睡眠が必要だとわかっていても、具体的にどのくらいの時間睡眠をとれば良いのでしょうか?
様々な研究論文を読み解くと
・肌への良い効果がでる睡眠時間=7~8時間
・肌トラブルがでる睡眠時間=5時間以下
という結果が出ています。
睡眠が肌のためによい・・・当たり前のように感じていて、ついつい見落としてしまいがちですが、美肌のために、シミを改善するためにあれこれスキンケアをおこなっても、睡眠不足では、せっかくのスキンケアが全く意味がなくなります。
美肌のためには、何よりも十分な睡眠時間をとり、肌を細胞レベルでケアしてください。
肌のターンオーバーが乱れないようにする
紫外線を浴びると、表皮内のビタミンAが減少してしまいます。
この表皮内のビタミンAが減少すると、肌のターンオーバーが遅くなり、メラニンが角質内にたまってくすみの原因になります。
それだけではありません。
シミの部分は、周囲の肌と比べてターンオーバーのサイクルが遅くなっていることも報告されています。
つまり、肌のターンオーバーが乱れる(遅くなる)と、シミやくすみの元がいつまでも肌の上に残ってしまい透明感がない肌になってしまうのです。
栄養面のアドバイス
シミ予防に効果的な栄養素は、なんといってもビタミンCです。
そして、紫外線で壊される肌細胞内に貯蓄されているビタミンAおよびカロチン、抗酸化力の高いビタミンE、さらに細胞を作るもとになるたんぱく質も重要です。
これらの栄養成分を、積極的に食事から取り入れることがおすすめです。
ビタミンC(水溶性ビタミン)
・ピーマン
・パプリカ
・レモン
・ブロッコリー
・キャベツ
・ジャガイモ
・いちごなど
ビタミンA(脂溶性ビタミン)
・にんじん
・ほうれん草
・かぼちゃ
・チンゲン菜
・ニラ
・しそ
などの緑黄色野菜
ビタミンE(脂溶性ビタミン)
・豆類
・かぼちゃ
・アボガド
・ウナギ
・煎茶 など
タンパク質
1日50g*ほど食べることが目安。
肉や魚、乳製品などの動物性タンパク質と、大豆などの植物性タンパク質などバランスよくとることがおすすめです。
*タンパク質量目安の計算式=体重(kg)×1g
体重50kgの人なら1日50gのたんぱく質が必要です
禁煙
美肌・シミ予防を考えている方は、大変だと思いますがほかの予防策より、まずは禁煙を頑張ってほしいです。
それほどタバコを吸うことは、頑張っているシミ対策を全て無駄にし、肌へ悪影響を与えます。
たとえ、加熱式たばこであってもニコチンを摂取する量が減るわけではありませんので、紙巻きたばこと同様に、肌へ悪影響があります。
タバコを吸うとすぐに起きる反応として、体の中のビタミンCが減ってしまいます。 せっかくシミ予防に取ったビタミンCも、タバコの毒素を消すために消費されてしまい肌のために働いてくれません。
それだけでなく、タバコを吸うことによってビタミンCの腸内での吸収率も落ち、 これらの結果、タバコを吸う人の血液中のビタミンC濃度は、吸わない人と比べて40%も低いことが報告されています。
それなら、ビタミンCを多く摂取すれば解決するのでは?と感じるかもしれませんが、タバコの害は単純にビタミンCが減るだけではありません。
タバコの主成分「ニコチン」による悪影響
・血管が縮まるので肌への血流が悪くなる
→ 肌が栄養不足になる
→ 肌に酸素が十分にいきわたらない
→ 肌の老廃物を取り去ることができない
その結果、肌のターンオーバーに乱れがおき、肌がくすんだりシミが増える、さらには肌細胞が老化していきます。
ほかにも一重炭素の影響でも、血管の細胞が障害を受けて肌の栄養と酸素不足を加速します。
さらに、活性酸素の働きで、肌に炎症を起こし色素沈着やくすんだ肌の原因になります
なかなかすぐに禁煙は難しいと思いますが、 ニコチン含有量の少ないタバコに切り替えるなど、可能なところから対策をしてみてください。
季節別のシミ予防
春の予防 実は一番紫外線に要注意
寒くて屋内にいることが多かった冬から一転、日差しもぽかぽか暖かく、しかも 心地よい気温なのでついつい外に出たくなります。
でも、春はシミ予防には要注意な時期です。
春が要注意な理由その1
肌の細胞に紫外線がダイレクトに当たってしまう
今まで屋内にいた状態から、急に外にでて一気に紫外線を浴びると、自前の日傘ができていない状態ですから、肌にあたった紫外線が直接肌細胞を攻撃し、シミや老化の原因になります。
春が要注意な理由その2
思っているよりも紫外線が強い
気象庁のデータでも、すでに3月から紫外線は中程度の強さになり、5月にはすでに8月の80%以上の紫外線量になっています。
まだ春だから大丈夫…なんて思っているうちに、意外に紫外線に当たってしまうので、要注意です。
気象庁が出している月別の日最大UVインデックス(解析値)
https://www.data.jma.go.jp/env/uvhp/link_uvindex_norm56.html
春のシミ対策で注意すべきこと
1. 紫外線対策を忘れない
2. いきなり長い時間、屋外に出るのではなく少しずつ肌を慣らす
3. 日焼け止めは、前年使っていたものではなくて新しいものを新調する
*封を開けて3か月以上経過している日焼け止めなどは劣化している可能性もあるので使用しないことをお勧めします
春から夏にかけての肌の準備!肌の褐色変化を味方につける方法
日に当たって、肌が褐色に変化することは、必ずしも悪いことではありません。 実は、肌の色の変化は、自ら肌の細胞を守るための自己防衛反応なので、この変化を味方につけてシミを防ぐこともできます。
肌の色が茶色く変化して日傘になる
日に当たって肌が褐色に変化する=肌細胞が自前の日傘(メラニンキャップ)を作っているためです。
細胞が紫外線で壊れたりしないように、細胞の頭(外側方向)に、黒いメラニン粒子を集めて、紫外線をブロックしています。
つまり肌が褐色に変化することは、紫外線から肌細胞を守り、シミを防ぎ、肌の老化を抑えるためには、必要な肌の変化なのです。
褐色に変化した肌は、SPF2~4ほどの効果があるといわれています。
*いくら必要といっても、過度に日焼けする必要はありませんので、ご注意ください。
夏の予防 肌のターンオーバーを整える&炎症を起こさない
夏になると、紫外線対策に気を使っている方も多いと思います。
春から少しずつ、肌を紫外線に慣らすことは大事です。
実は、日に焼けて肌が褐色変化をする=合理的な紫外線防御壁(自前の日傘)という肌には必要な変化なので、冬の時期よりは、少し肌が褐色変化しているくらいが、日差しの強くなる夏にはちょうど良いくらいかと考えています。
いくら自前の日傘を準備していても、強すぎる夏の日差しを完全には防げません
。 そこでプラスする夏の対策として、ビタミンEとカロチンを多めにとることをおすすめします。
カロチンを取るとこちらも、SPF3ぐらいの効果が出ます。少し肌にメラニンを多くした自前のUVカット膜と2重の効果が期待できます。
夏は肌のターンオーバーが乱れる原因がたくさん
夏場に肌のターンオーバーが乱れる原因として、以下のようなものが挙げられます
・紫外線にあたる
・冷房が強い部屋に長時間いる
・室内と外との寒暖差で自律神経が乱れる
夏のポイントは、肌のターンオーバーを保つ&タンパク質とビタミンをしっかりとる、そして炎症を起こさないこと
夏は気温も湿度も高く、夏バテしやすいです。食べやすいそうめんなどだけだと栄養が偏るので、暑い時こそしっかりタンパク質も摂ってほしいところ。
強力な日焼け止めを使いすぎると、肌に悪影響を与え、かぶれや炎症を引き起こす可能性があります。
炎症はシミに直結するので、炎症が起きないように生活の中で心がけましょう。
秋の予防 夏の疲れを早めにデトックス
紫外線が弱まり、夏の肌の疲れを早めにデトックスすることが大切です。
秋になり、シミの治療や日焼けた肌を早く元に戻したいと思っている方も多いかと思いますが、夏の炎症が残っている状態ではシミ治療が逆効果になることもあります。
肌が炎症しているサイン
・洗顔時にしみる
・乾燥して粉がふいている
・肌に赤みが強い
・かゆみ
・肌にぷつぷつがたくさん出ている
これらの症状がある場合は、炎症を抑えるスキンケアに切り替え、症状を早く改善させましょう。
炎症を抑えるスキンケア① 肌を清潔に保つ
夏の間使っていた、ウォータープルーフの日焼け止めや、落ちにくいメイクがしっかり落ちきれずに肌に刺激を起こしていることがあります。
夏よりは紫外線が減り、汗もかきにくくなってきたらメイクもパウダータイプをメインに切り替えて、肌残りしないように心がけてください。
炎症を抑えるスキンケア② 肌が弱っている時こそシンプルスキンケア
肌の夏疲れを回復しよう…と、あれを使ったらよいかな?この美容液も足そうかな。あ、ナイトクリームも再開しないと…とスキンケアアイテムを増やすことは逆効果です。
疲れている肌にこそ、シンプルなケアが最適です。 ビタミンC誘導体を中心としたアイテム+乾燥を予防するワセリンやスキンオイルを重ねるだけで十分です。
炎症を抑えるスキンケア③ 体の中からビタミンを補給
夏の紫外線の影響で、肌細胞内のビタミン量がぐんと減っています。
この時期は、肌の内側からのビタミン供給が効果的です。ビタミンA,C,Eを積極的に取り入れることがおすすめです。
秋の味覚のさつまいもは、食物繊維、ビタミンC、ビタミンEが豊富です。特にいも類に含まれるビタミンCは、加熱しても壊れにくいのでおすすめです。
肌の炎症が落ち着いたら、早めに冬の予防対策へ進んでください。
冬の予防 でき始めのシミを退治!
夏から3ヶ月以上経過したところで残っている色素沈着やくすみ、またはできはじめのシミは、早めに対処することが大切です。
通常、表面の細胞は28~42日ほどで新しく入れ替わりますが(ターンオーバーしている)、その倍の90日以上経過しても残っている場合は、スキンケアで様子を見るよりも美容皮膚科へご相談ください!
フォトフェイシャル、トレチノインを使ったメディカルスキンケアなどで肌のトーンアップがおすすめです。